補聴器と赤ちゃんとはじめての夜

無事出産の報告を聞き、ほっとしていた夜のことです。

これからの楽しい生活を思い描きながら眠りにつこうとしていたとき、

♪きんこーん♪きんこーん♪きんこーん

LINEがたてつづけになりました。入院一日目のちーさんからでした。

ちーさん
ちーさん

母!大変だ

めめが初日からきて一緒にねるんだって💦

産後すぐに同室になるということは事前の説明で聞いていたと思うのですが、お産のことで頭がいっぱいだった新米ママ、いざとなると不安になった様子です。

わたし
わたし

そうなんだ。いまは早いね~

昔、母が出産した時は夜は新生児室で預かってくれたけど…。

まぁ病院の方針だし、やるっきゃないね(笑)

ちーさん
ちーさん

うち、寝込んじゃって、めめが泣いても気付けなかったらどうしよう💦

そりゃ補聴器つけてねるけどさぁ

起きて泣いても、どうしていいかもわかんないよ~💦

ミルクのんでくれるかなあ~

不安だ~(泣)

補聴器というのは小型のマイクから音を拾いイヤホンから出力し聞こえを補助してくれるものです。いまは聞きとりやすくするためにさまざまな機能が内蔵されていたり、個人の聴力によって音質や音量をフィッティングすることもできるとてもありがたや~な装具なのです。

ただ、耳の聞こえる私がちーさんの補聴器をつけることはできません。気絶もんです。

それだけ大きな音を日々耳に聞かせているということです。

耳の細胞は繊細です。

歳を重ねると耳が遠くなる人って多いですよね。

それだけ耳の神経が傷つきやすく、繊細だということです。

なので、ちーさんが小さいときから、せめて寝ている間は補聴器を外して耳の神経を休ませるように伝えてきました。もちろんお医者さまの指示もあってのことです。

そんなちーさんが赤ちゃんの泣き声にどれだけ反応できるか不安になる気持ちは痛いほどわかりました。

聴覚障害の先輩ママたちからいろいろ教えてもらってはいたようですが、頭で考えていることと実際の出来事のすり合わせができることはもう少し先のことです。

ま、ちーさんに限らず、誰でも赤ちゃんとの初めての夜はどきどきしますよね。

わたしもそうでした。不安と喜びとなんともいえない気持ちです。

わたし<br>
わたし

そんなに自信ないなら看護師さんに相談してみたら?

ちーさん
ちーさん

さっき相談したら、みんなやってるからって叱られた(泣)

はは~ん、看護師さんも色々な患者さんに接しているので、ここは厳しく指導するべきと判断したのだなと察しました。家に帰ったらそんな甘えたことは言ってられませんからね。

しかし、みんな通る道とはいえ、自分の耳のせいで生まれたばかりの赤ちゃんが、ひもじい思いをしたら…というちーさんの気持ちも理解できました。

遠隔子育てレッスン

そこでわたしの登場です。

もともと必要以上に想像力豊かなので、とっさに頭の中で病室で途方に暮れる娘と孫のストーリーができ上りました。

それに昔から人に頼られたら

“おまかせっ!“

と張り切ってしまう性分なのです。

ということで、出産初日から遠隔子育てレッスンがスタートしました。

わたし<br><br>
わたし

何時にミルクあげたの?

おむつは汚れてない?

・・・

こら!なんでLINE返事ないの?

寝込んでしまってないでしょうね!

だいじょうぶなの!?

ちーさん
ちーさん

だいじょうぶ、だいじょうぶ。

ちょっと寝ちゃった 

わたし
わたし

ミルク飲んでる?

泣いてない?

・・・

ちょっと、だいじょうぶ???

ちーさん
ちーさん

だいじょうぶ、だいじょうぶ。

なんか慣れてきたかも えへへ

こんな調子で役に立ってるんだか立ってないんだか、なんだかわからないレッスンが続きました。

後に聞いたところ、ミルクはしっかりと飲み、おむつを替えるとすぐにすやすやと眠ってくれて、過剰に心配する必要などまったくなかったようです。

そういえば、お腹にいる時から胎動もめちゃ少なめで、毎回検診のときに看護師さんにむにゅ~と押されてやっと動き、

「大丈夫。寝てるだけです。」

と言われつづけた新生児めめ。以外に大物なのかもしれません!?

そして朝日がしらじらと明けるころ、わたしもやっとウトウト夢の中へ入り、三人の、いやわたしの長い夜は終わりを迎えました。

そして起きてスマホを見たときには

ちーさん
ちーさん

朝ごはんがね~すっごくおいしかったの~💛

と、入っていました…。いやほっとしましたけどね。

どっと疲れました。

ちなみに、ちーさん、退院するまでにはある程度は新生児の扱いをマスターし、堂々と帰ってきて、同じく初心者の新米パパに偉そうに指南しておりました。

そして半年・・・

生まれて数か月はわたしも手伝いに行き、交代で起きてミルクやら、おむつの交換やら世話を焼いていたのですが、めめが思いのほか親孝行(ばば孝行)な子で、あっという間に昼夜の区別をつけてしっかり寝るようになり、ちーさんも補聴器をつけたままではありますが、睡眠を確保できるようになりました。(パパは耳が聞こえるので、仕事が休みの時などは交代してもらうようです)

昼寝のときなどはベビーセンサーなるものを利用しています。

泣いたらすぐ知らせてくれる発信機です。かなりの振動なので慣れていないと何事が起こったのかとビクッリしてしまうほどです。

ただ最近はより極めつつあり、別部屋にいたとしても、めめが起きるともう気配でわかるらしいです。

人間て、きっと五感だけじゃないんですね。

母性ってほんとすごいです。最強です!

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