娘が妊娠するということ
少し前のおはなしになります。
娘ちーさん念願の妊娠。
それはもう家族一同大喜びでした。
小さい時から娘を見守ってくれていた、たくさんの方々が、成長してママになろうとしているちーさんに目頭を熱くされたようです。ほんとにありがたいことです。
実のところ、私自身は娘が生まれてから、いや大人になってからも、結婚などについてあまり深く考えてなかったように思います。無理だと思っていたわけではなく、ただ考えてなかったという感じです。
私自身、幼稚園の事務方として正規で働かせていただいていたので、自分の事で精一杯でした。
その間に、娘は趣味の写真を通じて、最愛のだんなさまと出会い、あれよあれよという間に結婚にまで至ったのです。
結婚して、「子ども欲しいんだけど」と言う話を聞いても、
「へえ~子どもが子ども生むのか。不思議~」
くらいに軽く考えていました。
なので実際に妊娠を告げられて、ひとしきりお祭りさわぎをしたあとにやっと
(あれ、ちょっと待って・・・考える事、山積みじゃない?)と気がついたのです。
わたし、仕事どうする?
多くの仕事がそうだとは思うのですが、幼稚園という職場も、とにかく忙しくハードな現場です。
保育の先生たちが可愛い子どもたちのために慌ただしい毎日であるのはもちろんなのですが、裏方である事務も庶務、会計、雑用、接待、ときには保育の補助まで、限られた人数の中でやることは山ほどなのです。
しかし、とてもやりがいのある仕事であることは間違いなく、私の持って生まれた資質といいますか、性格等考えても、向いていたであろう職種だったとも思います。
7年働いてきて、やっと仕事も覚え楽しくなってきたそんな時の妊娠報告でした。
・・・悩みました。
辞める勇気 続ける勇気
園長先生は、理解のあるかたで、「お休みとりながら続けたら?」と言っていただきました。
ありがたいお言葉でした。
アラフィフでコロナ禍であるこの時期に、すべてをゼロにして後悔しないだろうか・・・。
今まで積み上げてきたもの全てを捨てて出ていく勇気があるのか・・・。
自問自答を繰り返す毎日が続きました。
ただ、ほんとに忙しい現場なので、休めば誰かに負担がかかる事になります。みなさん色々な事情で働いていらっしゃるのです。
色んな意見があるのは仕方ないと思いました。
いまわたしにとって一番大切なもの
娘がひとりでいる時に産気づいたら、電話でタクシーは呼べないな・・・(娘の聴力では電話は聞き取れないのです)アプリでタクシー呼ぶ余裕があるかな・・・?
退院して帰ってきたときくらいゆっくり休ませてあげたいな。(補聴器を付けて寝ればいいのですが、補聴器というのは莫大な音を耳に聞かせることになるので、耳の神経を少しでも休ませてあげることは大切なことなのです。“詳しくはこちら補聴器と赤ちゃんとはじめての夜”)
赤ちゃんが夜泣きした時、娘も疲れるだろうし、時々は私が代わりに抱いてあげたい…でもそんなことしてたら仕事にならないかな・・・。
いろいろ頭をよぎりました。
考えて考えて考え続けたある時、娘と歩んできた30年間が走馬灯のように頭を巡りました。
ほんとうにいろいろなことがあった・・・
そして次の瞬間にはもう答えが出ていたのです。
結果が出ちゃえば進むだけ
結局のところ、仕事よりもなによりも
「こんな貴重な経験、できるのって一生に一回かもしれない。」
というわくわく感に勝るものはなかったのです。
あんなに頼りない赤ちゃんだった娘がママになる。
こんな絶好の楽しい時間を見逃す手はないという考えに至ったわけです。
結果、周囲の事を考えての決断ではなく、自分の気持ちに従って決断しました。
そして、数か月後、その思いは現実になり、30年間分の幸福な時間を味合わせてももらったのです。
悩んだときは、どの決断が一番わくわくする事なのかというのも判断基準になりますね。
結局自分で選んだ決断であれば結果がどうあれ前を向くしかないのですから。
というわけで、仕事はきっぱり辞めさせていただきました。
人間万事塞翁が馬(にんげんばんじさいおうがうま)
こんな決断をするときにいつも頭に浮かぶ言葉です。
いろいろな経験をしましたが、ほんとに人間の人生ってどう転ぶかわかりません。
わたしも、これから先、希望する仕事に出会えるかわからない。
でもそんな時でさえ、その先どう転じるかはわからないのです。
短い一生、わくわく求めてさまよいましょう!